Gerechtigkeitsvorstellungen und Rechtskulturvergleich
(正義の観念と法文化の比較)
講師:Prof. Thomas Möllers(アウグスブルク大学教授)
日時:2026年4月9日(木)16時~18時
場所:早稲田大学8号館604教室
言語:ドイツ語(講演原稿の和訳を配布した上で、質疑応答は日独通訳あり)
司会:山本敬三(早稲田大学法学学術院教授)
概要:ドイツ、アメリカ、日本における正義の概念と法文化の相違に焦点を当て、アメリカのリベラルな市場経済、ドイツの社会的な市場経済、そして日本の合意重視の文化が、契約法や憲法の解釈にどのように反映されているかを分析した上で、現代の法制度における共通の課題を明らかにする。
【報告】
Möllers教授は、米国・ドイツ・日本の三カ国を比較し、各国の法文化(Rechtskultur)が正義観(Gerechtigkeitsvorstellungen)にどう影響するかを考察し、米国は自由主義的市場経済と自己責任を重視し、基本権を防御権として捉える一方、ドイツは社会的市場経済のもとで国家による保護と基本権の広範な解釈(保護義務論・第三者効力)を発展させてきたと整理した上、他方で、日本はその中間に位置し、民法の信義則・公序良俗の一般条項が広く機能する一方、違憲審査や主観的権利の保障ではドイツほど積極的でないと分析しました。これを踏まえて、法の移植には法文化的限界があることを指摘しつつ、ドイツにはより多くの自己責任を、日本には個人の権利保護の部分的強化を提言し、共同体利益と個人主義の均衡こそが21世紀の共通課題であると結論づけました。当日は、予定を超える多くの参加者があり、Möllers教授のご提案を基礎づける規範的根拠の点など、様々な観点から質疑応答が行われ、盛況のうちに終了いたしました。