設立の目的設立の目的設立の目的設立の目的設立の目的設立の目的

設立の目的


日本を含むアジア諸国の知財判例英訳DB構築のプロジェクト

1.プロジェクトの目的と手段
本プロジェクトの目的は、国際条約を基礎に形成され、各国の法規範が一定の普遍性を有している知的財産法の領域において、研究者や実務者が共通の素材を用いて、 国際的な知的財産法の発展に資するための議論を行うことができる手段を提供することにある。 そのために、アジア諸国の知的財産判例について、各国の研究者や実務者が認める重要判例を収集し、要約・評釈を加え、それを英語に翻訳したものを、 WEB上で万人が無料でアクセス可能なDBを構築する。また、本プロジェクトは日本の知財判例の英訳プロジェクトも含んでいる。 従来、日本の知的財産の判例を系統立てて英語に翻訳するという試みはなされてこなかった。 この点、本プロジェクトは、欧米の判例と比べても引けを取らないレベルにあるにもかかわらず、 「言語の壁」に阻まれて世界に紹介されてこなかった日本の判例を、世界的にアピールするという意義も有している。


2.プロジェクトの進捗状況
早稲田大学では、文部科学省の21世紀COEプロジェクトにおいて、2003年度から上記プロジェクトに取り組み、 早稲田大学の若手研究者が当地を訪問して関係者と直接面談することにより、中国、タイ、 インドネシアにおいてプロジェクトを遂行のための人的・物的な基盤を構築してきた。プロジェクトの作業は、 基本的には、(1)学者、実務者等が当該国の重要判例を選別し、それぞれの内容を一行程度にまとめ300件程度の判例リストの作成し、 (2)早稲田大学の研究者ないし当該外国の実務者が判例リストを第三者的立場からチェックし、翻訳するに値する判例を選別した後、 (3)当該外国の学者、実務者等が判例を要約し評釈を加え、その後、(4)判例要約と評釈を翻訳し校閲するという手順で進めていく。 以下に、現段階における各国の進捗状況を紹介する。


(1) 中国
中国知的財産権判例データ・ベース構築プロジェクトは、中国の知的財産権判例をまず、北京(Beijing)地域の特許権判例、商標権判例、著作権判例、 上海(Shanghai)および周辺地域の知的財産権判例、広東(Guangdong)地域の知的財産権判例の五つの領域に大きく分類したうえ、 それぞれ北京大学(Peking Univ.)の張平(Zhang Ping)助教授、人民大学(Renmin Univ. of China)の郭禾(Guo He)教授、 清華大学(Tsinghua Univ.)の王兵(Wang Bing)教授、上海復旦大学(Fudan Univ.)の張乃根(Zhang Naigen)教授および広州中山大学(Zhongshan Univ.)の李正華(Li Zhenghua)助教授に協力を求めた。 各先生方は当プロジェクトが相互の学術の発展に大いに貢献すると確信し、連携を快諾してくださった。7月に、当総合研究所は北京大学、人民大学、清華大学、復旦大学および中山大学とデータ・ベース構築プロジェクトに関する協定を締結した。 現時点では、上述五名の先生方が率いる中国DBプロジェクトチームは、学者の視点から、膨大な量におよぶ中国の知的財産権判決から最重要判決(北京特許権50件、北京商標権50件、北京著作権50件、上海知的財産権全般60件、 広東知的財産権全般60件)を選出する作業にあたっている。なお、最重要判決の選出作業は、本年9月末までに完成する予定である。(2004/8/31 update)


(2) タイ
RCLIPでは、5月末に、判例翻訳プロジェクトの今後の計画について話あうと共に、事前に提出された200件余りの判例から翻訳するべき判例を選別する作業を行うために、 中央知的財産国際貿易裁判所(IP&IT裁判所)(なお、IP&IT裁判所内に、裁判官ら10名より構成されるタイ王国英語データベース委員会が設置されている)のスリピブール・ヴィシット裁判官を招聘した。 5月24日に高林教授との間で、企画全体の方向性を決定する会議を行い、また、5月27日には渋谷教授との間で、判例の選別作業を行った(タイ語通訳は(財)日本国際協力センターの三浦由美子氏にお願いした)。 これらの会議を通じて、企画の方向性と、翻訳するべき判例が決定した。 その後、タイ王国英語データベース委員会から、7月22日に要約しかつ翻訳された30件の判例が、早稲田大学に届いた。計画では、8月末までにさらに50件の要約・翻訳が完成し、 9月末までに、さらに50件の要約・翻訳を完成させる予定である。 本来は、多くの判例を蓄積した上で、データベースとして公開する予定であった。しかし、国によって進み具合に相違があり、一方で、何も公開されない状態は望ましくない。 そこで、データベースとして運用する前に、ウェッブサイト上にこれらの判例を先立ってアップロードし、紹介することとした。 このうち、IP&IT裁判所に推薦した一件の判例を、このニュースレターに紹介することにした。その他の判例については以下のウェブサイトで閲覧可能である。 ( http://www.21coe-win-cls.org/rclip/db/ )(2004/8/31 update)


(3) インドネシア
インドネシアではインドネシア最高裁判所(Supreme Court of the Republic of Indonesia)、 インドネシア共和国司法人権省(Ministry of Justice and Human Rights Republic of Indonesia)等の協力を背景に、 インドネシア大学Institute for Law & Technologyを中心にDBプロジェクトに係る実働チームの形成を依頼していている段階である。 インドネシアではタイ・中国に比較して未だ知的財産権についての事件自体が少なく、研究が遅れているという現状であるという。 しかしそれだけにチームの活動開始以降はデータの収集等を早期に進めることができそうである。 本年度はDBに搭載する判例の選定と概要のリストを達成目標としている。(2004/8/31 update)


(4) 日本
5月末までに特許・意匠法、商標・不正競争防止法、著作権法からそれぞれ100件を英語に翻訳をするべき判例として選別する予定である。 まず,最高裁判例の翻訳を、(財)知的財産研究所(Institute of Intellectual Property )がワシントン大学先端知的財産センター (The Center for Advanced Study and Research on Intellectual Property (CASRIP))と協力して先行実施する予定で、その後逐次下級審判例に着手していく。 最終的な成果物については最高裁判所のHPからリンクをはることに内諾を得ている。


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